前回の記事では、コマンドラインツールの「claude-code」や「Codex CLI」をGemini APIで動かす方法を解説しました。仕組みとしては、ローカルにLiteLLMプロキシを立て、CLIツールからのリクエストをGemini APIに中継するというものです。
CLI(コマンドラインインターフェース)は非常に強力でスピーディーですが、時には視覚的にコードの差分を確認したり、チャットUIを使って直感的にやり取りできるデスクトップアプリを使いたいというニーズもありますよね。
そこで今回は、GUI版のAIエージェントアプリである「Claude Desktop」や「Codex app」のバックエンドも同じ仕組みでGemini APIに差し替える方法をご紹介します。本記事では以下の3点をカバーします。
- litellmプロキシの立ち上げ(前回と同じリポジトリを使用)
- Codex appの設定方法
- Claude Desktopの設定方法
前提条件:litellmコンテナの立ち上げ
本記事では、Windows環境で作業を行うことを前提としています。
前回記事と同様に、mitarasy/litellm-gemini-proxyのリポジトリを使用してlitellmのコンテナを立ち上げます。
私はWindows Subsystem for Linux (WSL) 上で直接Dockerを使用して、以下の手順でプロキシを立ち上げています。
【重要】Docker Desktopのライセンスに関する注意
WindowsでDockerを使う場合、「Docker Desktop」を利用される方も多いと思います。Docker DesktopはバックエンドでWSLを使用しているため、今回紹介する仕組みは同様に動作します。ただし、商用利用の場合はライセンスに注意が必要です。
以下の条件のいずれか一方でも該当する組織において商用目的で利用する場合、Docker Desktopは有料サブスクリプションが必要になります。
- 従業員数が250人以上
- 年間売上高が1,000万米ドル(約15億円)以上
個人利用、教育目的、非商用のオープンソースプロジェクト、および上記基準を両方とも下回るスモールビジネスであれば、引き続き無料で利用可能です。企業内で利用する場合は、ライセンス条件を十分に確認するか、WSL上で直接Docker Engineを動かすなどの代替策を検討してください。
起動手順
# 1. リポジトリのクローン
git clone https://github.com/mitarasy/litellm-gemini-proxy.git
cd litellm-gemini-proxy
# 2. 環境変数の設定
cp .env.example .env
# .envファイルを開き、GEMINI_API_KEY=your_gemini_api_key_here を設定します
# 3. プロキシサーバーの起動
docker compose up -d
これでローカルの http://localhost:4000 でプロキシが稼働し始めます。
Codex appの設定手順
まずは、設定が比較的シンプルな「Codex app」の手順から解説します。
1. 設定ファイルの配置
Codex appの設定は、CLI版のCodexと全く同じ仕組みで動きます。先ほどクローンしたリポジトリ内に用意されている設定ファイル(.codex/config.toml と .codex/model-catalog.local.json)を、Windows上の所定のディレクトリ内にコピーするだけで認識されます。
配置場所:
C:\Users\{あなたのユーザ名}\.codex\
上記フォルダ内に config.toml と model-catalog.local.json の2ファイルを配置してください。
2. モデル切り替え時の注意点
設定ファイルを置くだけでGemini APIに接続できるようになりますが、一つ注意点があります。現状のCodex appのUI上には、直接モデルを切り替える機能がありません。そのため、動作は config.toml 内で指定したモデルに固定されます(リポジトリの初期設定では gemini-3.5-flash が指定されています)。
もしモデルを変更したい場合は、アプリ上ではなく config.toml を直接書き換えた上で、Codex appを再起動する必要があります。
Claude Desktopの設定手順
続いて、Anthropic公式の「Claude Desktop」の設定手順です。こちらは設定ファイルをフォルダに置くだけでは機能しないため、アプリのUI上での設定が必要になります。
1. 開発者モードの有効化
Claude Desktopアプリを起動したら、まずは開発者モードを有効化します。メニューバーの 「Help」→「Enable Developer Mode」 をクリックしてください(Windowsでは画面上部のメニューバーから操作できます)。
有効化すると、アプリが再起動を求める場合があります。再起動後、設定画面に新たな項目が出現します。
2. サードパーティ推論設定を開く
開発者モードが有効になると、設定(Settings)の中に 「サードパーティ推論設定(Third-party inference settings)」 という項目が出現します。そちらを開いてください。
3. エンドポイントの設定
接続先をAnthropic公式サーバーからローカルのlitellmへ変更します。以下の2項目を入力して保存してください。
- Base URL:
http://localhost:4000 - API Key: リポジトリの
.env.exampleに記載されているダミーのキー、またはご自身でlitellmに設定したキー
※ モデル(Model)については接続先のlitellmから自動で検出・取得されるため、個別の設定は不要です。
保存すれば完了です。Claude Desktopの洗練されたUIのまま、裏側ではGemini APIが推論を行うようになります。
まとめ
今回は、GUI版のAIエージェントアプリである「Codex app」と「Claude Desktop」を、litellmを使ってGemini APIで動かす方法を解説しました。
- Codex app:
C:\Users\{ユーザ名}\.codex\に設定ファイルを置くだけ(モデル変更時はファイル編集+再起動が必要) - Claude Desktop:アプリ上で「Help → Enable Developer Mode」を有効化し、「Third-party inference settings」でBase URLとAPI Keyを設定
CLIのスピード感も魅力的ですが、GUIアプリの使いやすさも捨てがたいものです。どちらも少しの設定でGemini APIへの切り替えが可能ですので、ぜひ皆さんの開発スタイルに合ったツールを試してみてください!

コメント